2009年08月09日

健康志向と特定健康診断の実施などが臨床検査薬の需要拡大を後押しする

栄研化学(4549)
臨床検査薬の総合メーカー。便潜血検査用試薬や尿検査用試薬などの体外診断用医薬品の製造・販売が主力。特に、大腸がんの早期診断のための便潜血検査用試薬では、国内シェア5割を占める。

 また、検査の効率化を図るための自動分析装置やシステム、食品微生物検査用試薬、環境微生物検査用試薬、さらに各種検査に対応する検査用器具・器材製品といった産業関連製品も扱っている。

■健康ブームで臨床検査薬の需要が高まる

 健康ブームの盛り上がりに加えて、早期発見・早期治療のために08年4月からスタートした特定健康診断の影響もあり、足元の臨床検査薬需要は高まっている。

 7月27日に発表された2010年3月期の第1四半期決算は、売上高が前年同期比2.7%増の69億2700万円、経常利益は同14.5%増の6億5600万円と増収増益を達成した。

 生化学的検査用試薬など売上げ減となった製品はあったものの、主力の免疫血清学的検査用試薬(便潜血検査用)が前期に引き続き堅調だったことなどが寄与。さらに、海外向けについても、便潜血検査用装置・試薬を中心に売上げが拡大した。

 また、98年に独自開発した遺伝子増幅技術「LAMP法」をベースにした、医療をはじめ食品や環境など幅広い分野向けの試薬キットや測定装置の製品開発も軌道に乗りつつある。

■検査薬の需要は世界的に高まりつつある

 通期の連結売上げは267億8000万円(前期比2.6%増)、経常利益は20億円(同1.5%減)と、売上高・経常利益ともに前期比でほぼ横ばいの予想。ただ、中国での生産比率を高めるなどコスト削減にも積極的に取り組んでおり、2011年3月期は増収増益が見込まれる。

 今後については、国の医療費抑制策や診療報酬の改定といった懸念材料はあるが、早期発見・早期治療を目的とした検査薬の需要拡大の傾向は続くと見られ、さらにグローバル展開の期待もある。中・小型の思惑材料株として注目しておきたい。

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チャート的には、08年10月の安値476円を底に反騰を開始。当面は、半値戻し水準の1100円近辺を狙う動きか。中・長期的には、3分の2戻しの1200円台奪回が目標値となる。700円を割れたら、ロスカットを検討したい。

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中国政府がソーラー・パネルを奨励。 太陽光発電セクターで注目の株は?

1.太陽光発電各社の決算が苦しいものになると予想されている
2.中国政府が太陽光発電奨励策を発表した
3.インリーとサンテック・パワーが比較的有利な立場にある

 8月に入り、中国の太陽光発電関連企業の決算発表が相次ぎますが、足元の太陽光発電業界の経営環境は、極めて厳しいものです

china

そのような状況下で、各社の決算における注目点は次の2点です。

(1)マージンがどのくらい圧迫されるか
(2)仕掛品在庫の評価損が計上されるか

 その理由は、ソーラー・パネルの原料であるポリシリコンの価格とソーラー・モジュールの価格がそれぞれ急落しているためです。

欧州の「ソーラー・ブーム」終えん
がもたらしたものは?
 ソーラー・パネルはこれまで、スペインとドイツが大きな市場でした。それは、両国政府がソーラー・パネルの奨励策を進めていたためです。

 しかし、スペインの住宅建設ラッシュが終えんしたこと、欧州全体が不況に陥ったこと、また、今年の冬の厳しい冷え込みでソーラー・パネルの設置が鈍ったことから、欧州が太陽光発電の「けん引役」の役割を果たせなくなりました。

 そして、スペイン、ドイツなど最大需要国におけるソーラー・ブームの終えんは、太陽光発電装置の価格急落をもたらしました。原料のポリシリコン価格は、高値の1キロ当たり400ドルから、現在では73ドルぐらいまで下落しています。

 ところが、ポリシリコンが極端に不足していた1昨年あたりに供給拡大のための先行投資が相次いで決定されたために、ポリシリコン価格が急落しているにもかかわらず、供給能力は現在もどんどん増え続けています。

 中国の四川省だけでも、2010年までに3万トンを超える供給能力の拡大が計画されています。

原料が安くなった分だけ、完成品であるソーラー・モジュールの価格も崩れています。昨年まで1ワットにつき4ドル程度だったモジュール価格は、現在では2.70ドルぐらいまで下落しています。

■長い目で見ると、価格下落は悪くないのだが…

 昨年、ポリシリコンが不足していたため、ソーラー・パネル各社は材料の確保に奔走しました。供給契約の大部分は、将来の買付数量こそ規定されているものの、価格についてはその時の「時価」という契約になっています。

 しかし、一部の在庫についてはすでに高値で仕入れてしまったため、その分の評価損が出ます。

 長い目で見ると、ソーラー・パネルの価格急落は悪いことばかりではありません。なぜなら、太陽光発電の製品価格が安くなると、それだけ需要が増える可能性があるためです。

 今のところ、太陽光発電のコストは他の発電方法に比べてまだまだ割高なので、価格下落がどのくらい需要を喚起するかについては未知数です。政府の奨励策や補助金が引き続き極めて重要だと思います。

■太陽光発電関連で、どの銘柄への投資がよいか?

 そのような中で、中国政府は最近、太陽光発電に対しての優遇策を発表しています。都市部において、ソーラー・パネル設置コストの半分を国が負担するという内容です。

 中国政府は、500メガワッツ程度のパネル設置を援助する考えです。ちなみに2008年の世界全体のソーラー・パネルの需要は5950メガワッツでした。

 ポリシリコンはケイ素が原料であり、これは地球上に多くある資源であるため、ポリシリコンの供給過剰は今後も続くと思われます。従って、LDKソーラー(ティッカー:LDK)のようなポリシリコンの業者ではなく、ソーラー・モジュールのメーカーの株を買ったほうがよいと思います。

 とりわけ、大手のインリー(ティッカー:YGE)とサンテック・パワー(ティッカー:STP)の2社は、事業規模の面、財務力の面で他のメーカーより優っているので、他の企業よりも不況下での適応力があると思います。
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この時期に電気自動車をお披露目した日産“お家の事情”

この時期に電気自動車をお披露目した日産“お家の事情”

 日産自動車は8月2日の日曜日、横浜市で新本社の竣工式を行い、その場で同社の期待を集める電気自動車「リーフ」(「葉」の意)のお披露目を行った。竣工式には、小泉純一郎元首相らの政治家が来賓として参加して、この場のお祭りムードをおおいに盛り上げた。

 だが、肝心のリーフの発売は、来年度の後半のことに過ぎない。なぜ、日産は、時期外れで、間延びする感を免れえないはずのリーフのお披露目を、あえて、このタイミングで強行したのだろうか。

 41年ぶりの創業の地・横浜市への復帰―。

 2004年6月の計画の発表以来の懸案だった本社移転プロジェクトを、ついに日産は実現した。横浜市西区のみなとみらい21地区に完成した新本社ビルは、地上22階、地下2階建ての威容を誇る。床面積は約80000平方メートルに及び、2800人の社員が勤務する巨大オフィス・ビルになるという。

 新本社ビルは、積極的な外気の活用、効率的な空調システムの採用、そして資源の再利用などに努めた結果、CO2の排出量が年間10200トンと東京・銀座の旧本社ビル(本館、新館の合計)に比べて3800トンの削減を達成したそうだ。

 2日に行われた竣工式には、小泉元首相だけでなく、松沢成文神奈川県知事、7月に辞意を表明し物議をかもしたとはいえ、まだ現役の中田宏横浜市長ら、地元を代表する政治家が勢揃いして、出席者たちを驚かせた。中でも、中田市長は、1933年の創業の地への帰還を果たしたことに「日産、お帰りなさい」と挨拶し、お祝いムードを盛り上げたらしい。

 そして、日産が、この竣工式のもうひとつのサプライズとして準備したのが、同社の大型戦略商品である電気自動車リーフのお披露目だった。

 リーフは、リチウムイオンバッテリーを搭載した量産電気自動車だ。1回の充電によって、実用に必要な160キロメートルの連続走行を可能にしたことが売り物だ。最高速度は時速140キロメートルに達する。国による手厚い補助が前提とはいえ、価格も「お求めやすい価格」を実現すると強調している。

 日産のカルロス・ゴーン社長は「エミッションが少ないのではない。エミッションがゼロとなるクルマだ。新しい時代に向けた最初の一歩である」と誇らしげに胸を張った。

新聞報道によると、日産の計画は強気そのものだ。同社は2010年度後半に、リーフを内外の市場に投入する計画だが、まず、初年度の目標生産台数を5万台と、先行する三菱自動車、富士重工業の実績を大幅に上回る水準に設定している。そのうえで、2012年度までに、さらに20万台まで引き上げて量産効果を追求する戦略を築いている。

 この野心的な計画に対し、惜しみのないリップサーブスをしたのが、竣工式に列席した小泉元首相だ。元首相は、「意外とスムーズで、静かでねぇ、スーッと。」と褒めちぎった。そのうえ、「きっと普及すると思う」とも付け加えた。

経営再建の切り札を欠く
ゴーン日産の危うさ
 4日までに出揃った最新の業績(2009年4〜6月期決算)に目を転じると、ゴーン社長の強気が裏付けられているように見えなくもない。

 というのは、依然として、世界経済が「100年に1度」と言われる経済危機から抜け出せないでいる中で、日産は116億円の営業黒字を確保したからだ。黒字組みは、日産のほか、ホンダ(251億円)、スズキ(68億円)をあわせた3社しかなかった。

 対照的に、“巨艦”トヨタ自動車は、1948億円のマイナスとほとんど2000億円近い営業赤字を計上した。他の3社をみても、三菱自動車(296億円の赤字)、マツダ(279億円の赤字)、富士重工業(196億円の赤字)とそろって営業赤字を抜け出せなかった。

 とはいえ、メディアや自動車業界関係者には、ゴーン日産の勇ましい計画に首を傾げる向きが少なくない。

 なぜならば、トヨタとホンダがすでにハイブリッド車という確固たるヒット商品を生み出して、経営再建の足掛かりを見出しつつあるのに対し、日産にはそういう切り札が見当たらないからだ。

 この危うさを最も鮮明に批判したのは、日頃から歯に衣を着せぬ論評を得意とする英フィナンシャル・タイムズ紙である。同紙は「日産は“大衆市場向け”リーフで電気自動車の未来を切り開く」と皮肉たっぷりのタイトルを付けた記事の中で、「日産リーフの道のりは、長いものになりそうだ。置かれた立場は、(破たんし、米政府主導で再建中の)ゼネラル・モーターズ(GM)にそっくりだ」と日産の戦略を酷評した。

その理由として、同紙は、唯一、ガソリン車の代替商品に成長しつつあるハイブリッド車の分野で、日産がGMと同様に「ライバルのトヨタとホンダに大きく水を開けられている」点を指摘した。実際のところ、その出遅れを埋めるため、日産が、トヨタのハイブリッドシステムを搭載したセダン「アルティマ」を米国で販売しているのは事実である。

 さらに言えば、ヒット商品を持たない日産の危うさが鮮明になる“事件”が、米国の新車販売市場で7月に起きた。

 同市場はこの月、7ヵ月ぶりながら、年換算で1000万台ペースの販売を回復した。全体にやや明るさが出てきたのである。ところが、この傾向に反して、1−7月合計の各社別シェアで、日産は韓国のヒュンダイに抜かれる不本意な結果に終わった。

 かつては、トヨタと2社で米市場を席巻する勢いのあった日産だが、退潮は隠しようがない。以前にホンダに抜かれて置き去りにされたのに続き、この1−7月は韓国メーカーにまで抜かれてしまったのである。残念だが、ライバルと違い、米市場全体の回復傾向をとらえるのに必要な魅力的なヒット商品を持っていないことの弱みが歴然になっている。

リーフ開発で融資を受け
計画は順調と誇示する必要も
 一方で、リーフのお披露目については、退潮傾向の中にあっても、「日産には順調に開発が進めていると内外に印象付ける必要があった」(銀行系証券のアナリスト)と指摘する向きもある。

 どういうことかというと、リーフがハイブリッド車と異なる最大の特色は、「ゼロ・エミション」(CO2の排出ゼロ)という点にあるが、日産には、その開発・生産などの名目で日米欧の政府・公的機関から公的な支援を受けてきた事情があるからだ。

 その公的支援の例をあげると、日産は今年6月、米エネルギー省から16億ドル(約1540億円)の低利融資を受けたことを公表している。このほか、7月には、ルノーとのアライアンスで、イギリス、ポルトガルの両政府から財政支援の約束を取り付けたことも発表した。

これらはいずれも、リーフやリーフのために開発されたリチウムイオン電池の製造工場の建設が支援の対象だ。こうした背景があるからこそ、日産はリーフの開発・投入計画が順調に進んでいると誇示しなければならなかったというのである。

 だが、最後に技術的な側面をみると、リーフがまだ多くの解決しなければならない問題を抱えていることに驚かされる。

 第一は、価格の問題だ。前述のように、日産はリーフを「お求めやすい価格」で販売すると強調している。しかし、爆発的な人気を博しているトヨタのプリウスは205万円。ホンダのインサイトに至っては、185万円というリーズナブルな価格である。日産が、リーフの価格を、これらのハイブリッド車並みに抑えるのは、「ほとんど困難だろう」(自動車業界関係者)。

 というのは、すでにゼロエミッション型の電気自動車を商品化している三菱のi-MiEV が459万9000円、富士重のステラが472万5000円と「お求めやすい価格」を実現できていないからである。2009年度については、国からi-MiEVに139万円の補助金が付くうえ、独自に補助金を交付する自治体もあり、かろうじてハイブリッド車に対抗しているのが実情だ。しかも、この2つの電気自動車は軽自動車がベースなのに対し、リーフは標準サイズの小型車である。低価格の設定は、容易なことではない。

 さらに、160キロメートルという航続距離にも不安が残る。というのは、こうした数値は、発電しながら走行できるガソリン車やハイブリッド車と違い、リーフの場合、現実味のないカタログ数値になる懸念があるからだ。

 換言すれば、「エアコンやヘッドライトなどを使用した途端、航続距離が激減するのは必至」(同)というのが実態という。この点では、トヨタ―パナソニック(三洋電機を買収)や、ホンダ―ジーエス・ユアサバッテリーといった組み合わせに比べて、日産―NEC連合の実力が未知数という問題も付き纏う。

 縷々述べてきたように、日産は、1年半も先の話であるリーフの投入を今から前広に宣伝せざるを得ない立場にある。ところが、その宣伝通りのスペックを持つ車を商品化するには、残された時間は必ずしも十分と言えない。

 就任以来、「目先の収益やバランスシートのリストラに重心を置き過ぎている。研究開発や投資を軽視しているのではないか」との視線を向けられてきたゴーン社長。その鼎の軽重が今こそ、問われているのかもしれない。
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2009年07月26日

「リチウムイオン二次電池は、2012年にブレイクする」

2003年、三菱自動車の周辺は「リコール問題」で大きく揺れていた。

 その当時の自身の行動を、エリーパワーの吉田博一社長はこう振り返る。

「(三菱自動車は)いまのアメリカの自動車産業のように大きな転換期だった。だから、(当時の)東京三菱銀行の三木(繁光)会長と会って、僕はこう言った。 『このままやっていても(三菱自動車は)一流になることはない。どうせなら、EV(電気自動車)だと思う』と」。

 当時、吉田氏は金融界のトップから、慶應義塾大学の電気自動車「エリーカ」プロジェクトの総合プロジューサーへと転進していた。

 その後しばらくして、三菱自動車では、現在の「i-MiEV」を目指した研究開発が本格化した。吉田氏の「そのひと言」が現在の日本EVブームに火をつけたと表現するのは少々大袈裟かもしれないが、その足跡と直近での活動を見る限り、「吉田氏=EV界(+蓄電池界)の風雲児」と言い切れると思う。

 また、吉田氏は、神奈川県の松沢成文知事とも親交が深い。全国に先駆けて神奈川県が推進する電気自動車普及計画「EVイニシアティブかながわ」についても、吉田氏の「ひと言」の影響力は大きい。

 エリーパワー株式会社は、2006年9月28日、吉田氏を含む当時の慶應義塾大学電気自動車研究関連のメンバーら4人が資本金1500万円で設立した。その後合計6回の第三者割当増資(主要割当先企業:大和ハウスグループ、エネサーブ、大日本印刷、シャープ、国際石油開発帝石、ミツウロコ、ジャフコ、興銀リース、横浜キャピタル、安川電機)を行い、資本の額は93億6550万円(内資本金は46億9650万円)へと成長。社員数は67人となった。役員には富山化学工業、日本電池などの開発責任者も加わり、社外取締役とシニアアドバイザーには投資先の社長や役員などトップビジネスマンが名を連ねている。

同社の事業内容は、「大型リチウムイオン二次電池の量産と低価格化を目指す、電池ならびに周辺機器・システムの開発・製造」。リチウムイオン二次電池は、1990年にソニーが小型ビデオカメラ用向け等で量産を開始した蓄電池だ。

 大型リチウムイオン二次電池では、自動車向けとしては現在、プリウスやインサイトなどハイブリッド車が使用しているニッケル水素二次電池に対する「次の電池」として、日米韓中での激しい開発競争が行われている。

 また、PHEV(プラグインハイブリッド車)やEV(電気自動車)では、リチウムイオン二次電池は常識化されているが、現在は「形状や規格の国際標準化が明確でない」、「安全性が明確ではない」、「価格が高い」などの問題に悩まされている。

 そうした蓄電池業界に新風を吹き込もうとしているのが、エリーパワーだ。同社についてはこれまで、多くのメディアが取り上げてきた。その理由としては、(1)最近流行りの太陽光発電の蓄電池用としての量産計画があるから、(2)輝かしい経歴のビジネスマンが還暦を過ぎて起こしたベンチャーだから、などが挙げられそうだ。

 また、2009年6月24日には、経済産業省が「資源制約対応製品生産設備導入計画の認定第1号」としてエリーパワーの申請を認可した。翌25日の朝日新聞は、「エコ投資支援、初認定」として、同時に認定第1号となったシャープ(ディズプレイプロダクト)とエリーパワーの事業計画を報じた。

 さて、筆者は近年、EV、PHEV、または太陽光発電に関する取材を通じて、数多くの日本の蓄電池業界関係者と話してきた。それは、大手蓄電池メーカーの社員・研究員・OB、正極・負極・セパレーター・電解質などの蓄電池の素材メーカー関係者、素材加工機器メーカー・同販売商社、量産型EVを製造する自動車メーカー・部品メーカー関係者などである。

 そして感じるのは「(日本の蓄電池業界は)かなり古い体質で、かなり閉鎖的だ」ということだ。筆者が話をした多くの関係者が自らの言葉で「閉鎖的」を強調するのだ。各社が技術の囲い込みをして、業界の横方向での技術連携がほとんどない。例えば、製造過程での化学反応(湿度へ影響など)についてデータ化が難しい領域があり、経験則(=勘、職人技)に頼ることがある。まるで、青森県大間の「本マグロ漁」のように、職人として技の機密が多い。

 また、自動車用(=大型リチウムイオン二次電池)について、トヨタ(パナソニックEVエナジー/パナソニック)、日産(オートモーティブエナジーサプライ/NECトーキン)、ホンダ(ブルーエナジー/GSユアサ「ハイブリッド車専用部門」)、三菱自動車(リチウムエナジージャパン/GSユアサ「EV専用部門」)の、自動車メーカー「縦割り体制」がある。そのため、これら4社が横で連携しないのは、企業競争の理念から当然だといえる。

 だがさらに言えば、蓄電池メーカーが同系列の自動車メーカーのEV部門関係者や商品企画幹部に対してですら、リチウムイオン二次電池の製造工程を蓄電池メーカー側の機密として公開しないこともある。加えて、東芝、日立などのビッグネームも、欧州自動車メーカーとの直接取引などを模索しており、日系自動車メーカー4社の縦割り体制とは一線を引いている。

 こうした複雑な業界実情ついては、筆者が以前取材したNEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)・蓄電池開発室・弓取修二室長からも様々な指摘があった。

 とにかく、リチウムイオン二次電池を製造する蓄電池メーカー各社は、「我々の技術こそ、世界一」という意識があまりにも強い。そのため、同業他社の新技術に対して、真っ向から否定するケースが少なくない。かなり強い口調で「あれはいずれボロが出る」、「あれは(量産品として)あり得ない」という声が挙がるのだ。こうした「情報混乱状態」なかで取材を続けるうち、筆者は正直なところ「一体誰の言葉を信じていいのか分からない」と思うようになってしまった。「化学と科学の中間」である蓄電池技術。まだ解明されていない領域が多いのだ。

今回のエリーパワーの取材においても、吉田氏の主張は尊重し、筆者はニュートラルな立場として、吉田氏の言葉をあくまでも蓄電池業界内での「ひとつの意見」として紹介したい。筆者の意図は、吉田氏の発言に対して様々な異論反論が生まれ、それによって、日本の蓄電池業界全体が、閉鎖性を自壊し世界市場での日系蓄電池メーカー各社の競争力が強まることである。

 インタビューの場は、エリーパワー本社。東京・JR有楽町駅の目の前、有楽町電気ビルディング南館5階。今年5月ノルウェーでのEVS24(電気自動車と燃料電池の世界フォーラム)でもお目にかかった、同社広報担当の小田佳氏に連れられ、社長室へと入った。

 吉田氏は、ダンディである。それは、スーツやネクタイなど、表面的なセンスだけを示すものではなく、長年に渡りトップビジネスの現場で鍛え抜かれた「真のダンディズム」であると感じた。また、仕草や言葉の節々に「落ち着き感のある吸引力」がある。吉田氏が大銀行の大幹部出身だったからといって、リチウムイオン二次電池が次世代を担う技術だからといって、各方面からエリーパワーに人材と出資金が集まったワケではない。皆が、「吉田博一」という男の生き様に惚れたのだ。筆者は1時間半近いインタビューをしながら「この人は、黄門様だな」と、思い始めていた。


慶應義塾大学「Eliica」を命名したのは、吉田氏。対外的には、「Electric Lithium Ion battery Car」と言っているが、実はハンガリー駐日大使、Sudy Zoltan氏の夫人 「Erika」さんがキッカケ。「ご夫妻と食事の機会があった時、ひらめいた。電気自動車はブランド性が大事だ」(吉田氏)

(Q=筆者)最近、日本やアメリカではEVブームが巻き起こっている。エリーパワーは当面、自動車向け製品は作らないと表明している。事業を定置用に集約する理由はなにか。

(A=吉田社長)(リチウムイオン二次電池の商品としての)出口は様々あると思っている。そのなかで、自動車用は形状の標準化が決まっていないことが、最も大きな問題点だ。現在のように各社がバラバラの形状では絶対に標準化しない。標準化のカギを握っているのはアメリカだと思う。対して、定置型は形状への制約が少ない。

 また自動車会社は、リチウムイオン二次電池を「デバイス(道具)」だと認識している。ガソリンを入れる容器のように蓄電池を見ている。対して我々は「蓄電池自体がエネルギー」だと考えている。量産効果についても課題は多い。日産のゴーン会長はEVを強く推進すると言っているが、(日産も当面は)ガソリン車が主体のなかでEVを考えている。EV(の需要が近年中に)物凄い勢いで進み自動車産業の主流になるとは思えない。

 (自動車市場の現状を考えると)本当の意味でリチウムイオン二次電池の量産が出来ない。だから、(エリーパワーに対して)ホンダやGMがコンタクトしてきて、ホンダ専用、GM専用(の自動車用リチウムイオン二次電池)に作って欲しいと言って来たがお断りした。本当の量産効果は、「エネルギーとして使える(正当な)価格になる」ことだ。ならば、まずは太陽光発電が普及し、そのための蓄電池としてリチウムイオン二次電池の価格が下がる方向になるべきだ。(弊社としては)当面は生産数にも限りがあるので、株主のシャープにも販売せず、個人向けではなく企業向けリースに事業を集約する。

Q) アメリカでは最近、自動車用と定置用のリチウムイオン二次電池の産業に対してDOE(Department of Energy/エネルギー省)を代表格としたアメリカ政府が積極的に支援する姿勢を見せている。そうした動きをどう見るか。
A)あくまでも私見だが、(経済界全体としての)アメリカの日本に対する戦略は2000年頃に本格化していたと思う。
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 日本からアメリカ資本の引き上げが急速に進んだ。ガソリン車ついてもアメリカは勝負に負けたことを認識していた。北米自動車産業界に対して(事業再生と新事業開発における)公的資金を投入することは当初から決まっていたはずだ。それがサブプライムローン問題の影響で、実施が早まったのだと思う。

 そうした流れの中で今後のアメリカの切り札が、リチウムイオン二次電池の「形状と、ある程度のスペックを含めた標準化」だ。そうしたうえで、GMシボレー「Volt」などシリーズハイブリッド車(エンジンを発電機のみとして使用する形式。プリウスはパラレルハイブリッド車)を決め手として、(米国側に優位な)税金をかけてくると思う。

 つまりオバマ政権は、ブッシュ政権時と基本的な考え方は変わらず、自国の自動車産業を再生させることで(最終的に)日本を叩くことになる。そうしたなかで、トヨタ関係者に聞いたわけではないが、トヨタはアメリカの動きを恐れていて、(EVなどについて)一歩引いた立場を取っていると思う。トヨタがいま、リチウムイオン二次電池の標準化を行えば、アメリカと中国が手を組んでトヨタをつぶしにかかる。いまアメリカは(次世代車開発について)トヨタの動きをジックリ見ていると思う。

Q)リチウムイオン二次電池のベンチャー企業という観点で、米国の同業他社である「A123システムズ」や「EnerDel」は、エリーパワーの事業にとって参考になるか。

A)ならない。

 (一般的な)アメリカ企業と当社の企業方針は大きく違う。MBA(経営学修士)が主体の、アメリカのいまの経営は日本企業には向かない。アメリカ企業の、「株主ありき」の経営体質ではなく、「従業員ありき、顧客ありき」に株主が並ぶような経営の方向性が大事だ。短期の収益確保、習慣的な株主利得を求めることは、アメリカにとっても有益ではないことが、今回のサブプライムローン問題で立証されたと思う。

 僕は、企業にとって「改革は愚の骨頂」だと思う。僕の戦略は、毎日変わる。試行錯誤の連続で、今日と昨日(の考え方)は違う。そうしたなかで、マネージメントで最も大事なことは、予知力だ。僕の(金融事業に携わった)経験の中で、MBAの学習体制のように、実経営がケーススタディのようになったことなどない。過去のデータは参考にはなるが、経営には予知力が必然だ。それに加えて、人材を束ねて企業全体の進むべき方向性を決めることが、経営というものだ。

 さらに言えば、弊社(=技術系ベンチャー経営)にとって最も大切なことは「テクノロジー・マネージメント」だ。

Q)テクノロジー・マネージメントとは、具体的に何か。

A)弊社の技術者に、(同業他社のように)工学博士が多くいるワケではない。表現としては難しいが「中流の上」である。(研究所や大学などでの)基礎研究の分野は未来を切り開くが、現実のビジネスには(必要な人材としての)幅がある。大切なことは、マネージメントから技術者への「テーマの与え方」だ。大手企業は大勢の技術者を採用する。だがそれが現実のビジネスに結びつくかどうかは別だ。「生き物のように先の動きが見えない」ビジネスにおいて、マネージメント側がどう方向を定めていくかだ。
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弊社の場合、創業まもなく、同業他社からヘッドハンティングした技術者が試作品を作った。その時点での蓄電池の理想像とは、安全性、性能、価格の問題を同時に解決することだった。その中で最も重要だったのが、安全性だ。そこで、リン酸鉄リチウムを正極材料に使うことが課題となった。

 だが、当時は(日系蓄電池業者のほとんどが)リン酸鉄リチウムの採用が難しいと考えており、弊社の技術者も「無理だ」と言っていた。だが我々としては、これが出来なければ企業としての未来がない、「会社をたたむか?」とまで激しく議論した。

 結果として(株主である)大日本印刷の技術サポートもあり、正極にリン酸鉄が「塗れた」。だが、リン酸鉄リチウム正極材の蓄電池は、同業他社の製品と比べてエネルギー密度が低い。ここでも「壁」にぶちあったが、社長賞100万円を掲げて技術者たちを競争させたところ、あっという間に解決策が見つかった。同業他社のように「巻く」のではなく、スタック(積み重ね型)の形状として安全性を上げ、さらにスタック形での問題点である生産効率は「製造スピード」で補った。

 その結果、安全性が高く、エネルギー密度が高い製品が完成した。こうした一連の流れは、僕が金融業界で過去に様々な企業の成功・失敗例を見てきたことで身につけた、先見力(=予知力)と、社員をひとつの方向に束ねる能力によって可能となった。これが、テクノロジー・マネージメントだ。

Q)一般住宅や事業者向けの蓄電池やEVインフラについて、最近、三菱重工の「スマートコミュニティ」構想など、ビッグネームによる大規模な都市開発案が出てきた。こうした、いわゆる「スマートグリッド」については、どう見ているか。

A)日本には必要ない。日本にはきめ細かい都市インフラがすでに整っている。アメリカは電化が進んでいない場所での地域開発を総合的に行う可能性はあると思う。日本では(巨大な都市開発構想というような)大きな話は必要ない。(蓄電の観点では)個人住宅に装着し、電力会社が系統連携することが望ましい。太陽光発電などグリーンエネルギーにおいて、「蓄電がキーワード」になる。

 また、蓄電池の普及に最も効果があるのは、公共の施設で使うことだ。文部科学省でも災害時での地域の避難所として小学校を使う場合、太陽光発電と蓄電池の設置を考慮している。インフラを含めてリチウムイオン二次電池の普及は、けっして新しい発想でない身近なことだ。

Q)蓄電池用を主体とした、リチウムイオン二次電池は市場でいつブレイクするのか。

A)2012年だ。リチウムイオン二次電池業界全体がブレイクする。

 当社の事業計画は、2009年7月、川崎の量産工場の建設を着工。2010年3月に竣工し、4月か遅くとも5月に生産を開始する。最初は市場動向を見ながら、年産5万セルレベルで量産。同年末までに年産20万セル規模とする。その生産ペースが維持出来ると判断すれば、2011年後半から年産100万セル量産体制に移行させる。

 2011年に当社の利益が上がれば、競合他社の量産体制が一気に加速するだろう。つまり、当社の2011年時点での事業は、リチウムイオンの初期普及ではなく、大量生産での利益を上げてみせることだ。市場の競争が活発になれば、原材料費が安くなり、結果として事業が先行している当社の立場が優位になる。(インタビューはここまで)

 吉田氏は「ものづくり」について、大いに夢を語った。だが、厳しい現実も承知している。エリーパワーにとって、年産20万セルの時点が「正念場」となることを。それを乗り越えた暁には、エリーパワーの経営が若い世代へと引き継がれる。

 吉田氏はこれまでの人生を振り返るような表情をみせながら、こう言った。「(蓄電池業界でエリーパワーが)世界一になる姿を見てみたい」。

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Google AdSense なるものが

Google AdSense なるものがいつのまにかあるのですね。
最近知りました。
掲載サイトに競合する広告が掲載されないように、フィルタがかかるとのことです。
他にはない機能かもしれません。
今度、掲載したいのですが、条件がどのようか不明です。
posted by soonrail at 20:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

ソニーのアフィリエイト開始のよう

ソニーが,アフィリエイト事業に乗り出した。
とのことです。
今までソニーが出さなかったのは不思議ですね。
こんな内容でした。

アフィリエイトは,Webサイトなどの運営者が,リンクを張った先の企業から報酬が得られる仕組みを指す。一般には,そのリンクをきっかけに商品購入したり会員登録したりする行為に対して成功報酬を得る。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080409/298571/
posted by soonrail at 20:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2005年11月22日

日記テスト


日記テストしました

posted by soonrail at 20:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

本日開店

晴れ本日開店しました
posted by soonrail at 20:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記